FIA WEC(世界耐久選手権)とは?

 WECは、World Endurance Championshipの名称で、モータースポーツのカテゴリーの中でスポーツカーレースの頂点と言えるレースがこのFIA世界耐久選手権です。
FIA・ 国際自動車連盟(Federation Internationale de l’Automobile)がル・マン24時間耐久レースを主催するACO・フランス西部自動車クラブ(Automobile Club de l’Ouest)と協力、選手権を運営しています。


その歴史は、1953年から1992年まで開催された世界選手権としてのスポーツカー耐久レースを継承し、2010年から2年間開催されたインターコンチネンタル・ル・マン・カップを発展させた形で発足。

2016年シーズンはル・マン24時間レースを含む全9戦。ヨーロッパを中心にアメリカ、10月には日本富士スピードウェイでも開催されます。ル・マンの24時間を除いて6時間の耐久戦で行われ、各自動車メーカが威信とプライドを賭けて激突する。
参戦車両は、LMP1、LMP2、LMGTE-PRO、LMGTE-AMの4クラス。加えて出場選手はキャリアに基づき格付けされる。トップクラスのプロ ドライバーは「プラチナ」となり、「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」の全4段階に類別。ブロンズの選手はLMP1に出場できないなど類別による参戦条件があり、クラス毎に選手編成の制限を設けている。

 

Le Mans Prototype 1(LMP1-H / LMP1)
自動車メーカー系ワークスチームが独自設計した車両を主とし、エネルギー回生システムを装備する車両をLMP1 Hybrid(LMP1-H)とする。システムを搭載しないプライベーターの車両はLMP1となる。車両は屋根のあるクローズドカー。ゼッケンカラーと順 位識別は赤。ハイブリッド車は赤地に白の文字で「HY」と書かれたゼッケンも装着する。
車両は、全長4,650mm以下、全幅1800mm以上1900mm以下、全高1050mm以下。最低車重はLMP1−Hが870kg、LMP1は 850kg。燃料の流量を制限するため燃料流量計の装備が義務付けられる。LMP1-Hのエンジン気筒数と最大排気量は自由だが、それ以外は5500cc 以下。ただし、どちらも4ストロークのレシプロエンジンとする。TS040 HYBRIDはV8・3700ccの自然吸気エンジンを採用。また、エネルギー回生システム(ERS)は放出エネルギー量6MJを採用する。燃料タンク最 大容量は、ガソリン車が68.3リッター、ディーゼル車は54.2リッターとなっている。

 

Le Mans Prototype 2(LMP2)
主にプライベーターが対象の競技専用プロトタイプカーとする。市販のシャシーとエンジンを組み合わせた車両がLMP2であり、各価格には上限が設定されるなど、様々な制限がある。車両はオープンまたはクローズドカー。ゼッケンカラーと順位識別灯は青。
最低車重は900kg、エンジンは量産ベースに限定され、自然吸気エンジンでは5000cc・8気筒、過給式エンジンは3200cc・6気筒まで。燃料タンク最大容量は75リッター。参戦にあたり、少なくとも1名のシルバーまたはブロンズの選手を組み入れることが必要である。

 

Le Mans Grand Touring Endurance Pro(LMGTE Pro)
車両は2ドア、2座席または2+2(前後に2座席)のオープンまたはクローズドボディの市販のスポーツカーをベースとした競技車両が主で、多くのプロドライバーが参戦する。ゼッケンカラーと順位識別灯は緑。
最低車重は1245kg、自然吸気エンジンが5500cc、過給式エンジンは4000ccまで。燃料タンク最大容量は90リッター。パドルシフトは条件付 きで可能。4WD、オートマチック、セミオートマチック・ギアボックス、アクティブ・サスペンションは禁止される。ドライバー類別の制限はないが、結果的 にプロドライバーのゴールド、シルバーが中心の構成となっている。

 

Le Mans Grand Touring Endurance Am(LMGTE Am)
LMGTE Proの車両と基本は同じだが、Amクラスは1年前の車両もしくは前年の規則に合致したものに限定。呼称のとおり、アマチュア向けとして定義されている。ゼッケンカラーと順位識別灯は橙。
車両はProクラスの規定に準じる一方で、参戦にあたっては少なくともブロンズの選手を1名と、ブロンズまたはシルバーの選手を1名組み入れて編成することが条件として必要とされる。